アメリカ生活も10年を越え、日々の生活でそれほど不自由も感じずに暮らしている私。
しかし、最近こちらに来られたばかりの方に日常生活のアドバイスをする機会があり、はたと気づいた。長く暮らしていても、まだまだ知らないことがたくさんある。気づかないで見過ごしていたことが。そこで一大奮起。もう一度身の回りのものを新鮮な目で見て、いろいろ試してみようと思い立った。まずは、食材。スーパーに並ぶ野菜を開拓。初めてのものばかりではないが、気に入ったものをレシピ付きでご紹介したい。
BEET
一見赤かぶのように見える野菜だが、カブの仲間ではなく、砂糖の原料になる甜菜やほうれん草の仲間。ビーツ自体にもほんのり甘みがある。「飲む天然輸血」といわれるぐらい栄養価が高い。中でも血液の流れを良くし、血管の筋肉を拡張させる一酸化窒素(NO)を多く含み、脳卒中や心臓病の予防に効果があると言われている。また、血流量が増えるので疲労回復、基礎代謝アップ、美肌効果も期待できる。赤い色素はベタシアニンによるもので、強い抗酸化作用があり、動脈硬化やがん予防にもなるのだとか。ただし、たくさん食べると翌日トイレで真っ赤なものを発見することに。でも、問題はないのでご安心を。
さて、料理といえばボルシチが有名だが、もっと頻繁に摂りたい野菜なので、サラダがお勧め。生でも食べられるが、土臭さが気になる時は、ゆでるか、ローストするのがよい。
【ビーツをゆでる】 ビーツは葉の部分を切り落とし、皮付き丸ごと鍋に入れる。ひたひたの水と塩、お酢少々を入れて30分ほどゆでる。串を刺して柔らかければOK。鍋に入れたまま冷まし、皮をむいて食べやすい大きさに切る。
【ビーツのロースト】 オーブンを400度くらいに熱する。葉の部分を切り落としたビーツを1個ずつアルミホイルで包み、天板に載せて1時間ほど焼く。自然に冷ましてから調理。
お勧めレシピ Beets And Ricotta
バーミンハムのレストランで巡り会ってから、マイブームになっているレシピ。レストランの味には及ばないが、飽きることなく食べられる。
【材料】
- 中くらいのビーツ4個
- リコッタチーズ(お好きなだけ)
- くるみなどのナッツ
- ワインビネガー大さじ1
- オリーブオイル大さじ1
【作り方】
ゆでるかローストしたビーツを食べやすい大きさに切り、ビネガーで和える。このまま冷蔵庫で保存(1週間くらいは大丈夫)。好きな時にリコッタチーズ、ナッツ、お好みでアルグラなどの葉ものを合わせ、オリーブオイルをかけていただく。
ビーツの甘みをくせのないリコッタチーズが引き立て、たくさんいただける。
TOMATILLO
緑色のトマトかと思いきや、茄子科の野菜で食用ホオズキとも言われる。確かにホオズキのような外皮に被われているが、それを取ると形は緑のトマト。少し酸味が強い。メキシコ原産でマヤ人やアステカ人も食べいたそうだ。メキシコ料理の
サルサ・ヴェルデ(緑のサルサ)に欠かせない材料で、一般的な赤いトマトのサルサよりもサッパリしたソースは肉料理との相性抜群。栄養的にも食物繊維やミネラルが豊富。抗菌、抗がん作用のある抗酸化物質も含んでいる。
お勧めレシピ サルサ・ヴェルデ
【材料】
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tomatillo 中4個くらい
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玉ねぎ中1/2個
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コリアンダーひとつかみ
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塩 小さじ1/4
- serrano chiles やハラペーニョなどお好みの辛さのhot pepper 適宜
【作り方】
tomatilloはホオズキのような外皮をむしって実を洗う。 沸騰したお湯に入れて5分~10分ほどゆでる。この時玉ねぎやhot pepperもさっとゆでる。全ての材料をフードプロセッサーに入れて細かくする。
全てを生で作ってもよいが、湯通しした方が胃に優しい気がする。塩とニンニクを利かせたチキンソテーにかけて食べたら、、、病みつきに。
SPAGHETTI SQUASH
日本名は金糸瓜/そうめん南瓜。いわゆる日本の南瓜より味も色も淡白。火を通すと身がスパゲッティのように細くほぐれるのでこの名がついた。栄養的には南瓜なので、ベータカロテンが豊富。カリウムも多く高血圧にも効果があるとのこと。
下ごしらえはビーツと同じように、ゆでるかローストする。
【ゆでる】 そうめん南瓜を5センチ程度の輪切りにし、種を取る。沸騰したお湯に入れて30分くらいゆでる。身がほぐれるように
なったら、冷水にさらす。ざるにあげて水気を取る。
【ローストする】 縦半分に切り、種を取る。天板にアルミホイルを敷き、切り口を下にして380度くらいのオーブンで30分ほど加熱。柔らかくなったら取り出して自然に冷まし、フォークで実をほぐす。
お勧めレシピ スパゲッティスクワッシュ中華風サラダ
【材料】
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Spaghetti Squash 中サイズ半分
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キュウリ小1本
(ドレッシング)
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酢大さじ1
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砂糖小さじ1
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好みで醤油少々
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オイスターソース大さじ1
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ごま油大さじ1
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すりごま大さじ2
【作り方】
Spaghetti Squashは調理してほぐしておく。キュウリは千切りにして塩揉みし、水気を絞る。材料をすべてボールに入れ、ドレッシングで和える。冷蔵庫にいれ30分ほど味を馴染ませる。
その他のお勧め野菜
BRUSSELS SPROUTS
芽キャベツと呼ばれキャベツの仲間の野菜だが、栄養価はキャベツより高い。ビタミンC、K、抗酸化力の強いベータカロテンも豊富。今が旬(秋~冬)なので、大いに食したい。
お勧めレシピは、オーブンでのロースト。時間短縮のため、芽キャベツを縦半分に切り、塩とオリーブオイルで和える。天板にアルミホイルを敷き、切り口を下にして並べる。約400度に熱したオーブンで焼き色がつくまで15~20分くらい焼く。オーブンから出したら熱いうちにレモンの絞り汁をかける。前菜にお勧め。
TURNIP GREEN
Turnipは日本で言えばカブ。これは甘酢漬けやみそ汁等に普通に使える。Turnip greenはこのカブの葉のことで、ビタミンA、C、Kだけでなく、カルシウムも豊富。日本のものよりかなり大きいので、一度下ゆでしてから細かく刻み、油で炒めてからしょうゆ、みりん、鰹節で味付けすると常備菜として重宝する。お弁当にも大活躍。
RAPINI (broccoli raab/rabe)
ちょっとほろ苦い、菜の花の代わりに使える野菜。ブロッコリーのように蕾もあるが、主に茎や葉を食べる。ビタミンA、C、Kが豊富。小振りのものを買って下ゆでし、だし汁としょうゆ、みりん、からしで味付けした汁に浸せば、完璧な日本料理。シンプルに塩とにんにくで炒めても、くせがなくて食べやすい。
ROMAINE LETTUCE
シーザーサラダに欠かせない野菜。通常生でサラダに使われるが、これをさっとゆでて、おひたしにしてもなかなかおいしい。
どんなにアメリカ生活が長くなっても、子どもの頃から馴染んだ日本食はどうしても食べずにはいられない。だが、スーパーに行くたびに食材の選択肢の少なさにため息がでてしまうのが現実。しかし、探せば日本食にも使える食材は結構あるものだ。あれこれ試してどうしても好きになれないものもあったが、違和感
なく食べられるもの、新しいおいしさにはまってしまうものもあって楽しかった。せっかくアメリカに住んでいるのだから、この地の食材を取り入れなくてはもったいない。というわけで、アメリカ食材への挑戦はまだまだ続く。
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