ラグ・フッキング (Rug Hooking)

それは14年前、ミシガンに暮らし始めた私。マイケルズやジョアンなどのクラフトショップで色々な種類の手作りのクラフトがあることを知り、また、クラフトショーなどで様々な素敵な作品を見るにつけて、「自分で作ったものを家で実際に使用できるのはいいな・・・何かクラフトを始めよう!」と探していました。とある雑誌でノースビルにラグ・フッキングのお店があるのを見つけ「これは我が家の近く」と出かけて行きました。ノースビル、メインストリートの中ほどのビルの2階に看板を見つけ上がっていくと、残念なことにそこはラグ・フッキング作家のスタジオという感じで、教室は開催されていませんでした。そこで、仕方なく隣の通りにあったステンシルのお店のクラスをとることにしました。それからトールペイントやキルトを経験したものの、ラグ・フッキングの機会は無く、お店などで製品を見る度、「買うと高価な値段だし、飾り映えするしで作る甲斐があるのに残念だなぁ。」と感じていました。そしてそのまま月日は流れて最近、「ラグフッキングを通して学ぶ英会話」のクラスに巡り合ったのです。しかも、先生はあのノースビルのスタジオを経営されていた方なのです!何という嬉しい偶然の出会い。この冬から始める前に、まずはラグ・フッキングの世界を覗いてみました。

※注意:2015年11月現在、「ラグフッキングを通して学ぶ英会話」クラスは開講されていません。

1.歴史

ラグ・フッキング(rug=敷物、hooking=鈎針編み/織り)は、着古した洋服や端切れのウールを再利用し、細い短冊状に切って、図柄を描いた黄麻布の下からそのウールを鈎針で引っ張り上げ、ループを作りながら図柄を埋めてラグに仕上げるものです。

 その起源については、古代エジプト、中国そして英国と諸説がありますが、アメリカでは、ニューイングランド地方の植民地で1800年代から現れ始めたということです。1830年に工場生産の機械織りカーペットが販売され、裕福な家では、フロアカバリング(床敷物)の流行が興りました。しかし、カーペットは高価であったため、つつましく暮らす人々は、手に入る使えそうなものは何でも使ってラグを作りを始めました。無料で手に入る穀物や飼料が詰められていた黄麻袋を台布として用い、そこに、洋服の端切れ、古着を集めて(時には野菜や雑草で染め替えるなどもして)細長くテープ状に切ったものを、鈎針で編みこんでいったのです。デザインは日常的なものが多く、その作られた地方の特色が出ているものでした。1860年代には行商人のエドワード・サンズ・フォレストが商業用パターン(図案)を作り広めました。現在のように裁断したウールのみを使うようになったのは1930年代のパール・マクガウンからで、その後、ジョアン・ムシュマーが美しいパターンを作り、一時は廃れかけていたラグ・フッキングの存続・指導・普及・発展への大いなる尽力がされ、さらに美的要素が加わって今に伝えられています。今日のラグ・フッキングは、細目のウールを使い繊細に作られたまるで芸術作品のようなファイン・フッキングと、今回ご紹介する、太いウールで荒めに織られたプリミティブ・フッキングに大別されています。


2.材料(プリミティブ・フッキング)

テープ状のウール
テープ状のウール
  • バーラップ(burlap):黄麻布=ジュートを平織りにした厚地の布です。
  • ウール:フラノに近い目の詰まった生地。100%毛のものを使用します。
  • フック(hook):鈎針
  • パーマネントマーカー:麻布に図柄を描きます。
  • ローラーカッター:切る幅により円盤型の刃を取り換えられ、一度に数本のウールが切れます。
ローラーカッター
ローラーカッター
ウール
ウール
ウールとフック
ウールとフック

3.作り方

  1. バーラップに油性ペンでデザインを描きます。
  2. バーラップをフープもしくは木枠に張ります。
  3. 手持ちのウールを絵に当てて、配色を決めます。
  4. ローラーカッターでウールを5~8ミリ幅のテープ状に切ります。
  5. 切ったウールを裏側に持って線の内側に表からフックを入れます。
  6. 裏でウールを引っ掛けて表側へループ状に引き上げます。
  7. 一目戻った線の上の穴へフックを刺し込み、また裏側のウールを引き上げループを作ります。
  8.  あて布をして仕上げアイロンをかけ、裏側から縁の処理をします。
パターンを描いた バーラップ
パターンを描いた バーラップ
フープ
フープ

ラグ・フッキング講師 エリザベス・セカーカ先生にインタビュー

冒頭でご紹介した、偶然に巡り合う機会を得たラグ・フッキングのスタジオをノースビルでされていた方は、エリザベス・セカーカさんといいます。10年間の教員生活の後、ノースビル・ダウンタウンで「Hooked on Rugs」という会社を1987年に設立し現在に至るまで、ラグ・フッキング作品の製作、パターンのデザイン、材料の販売、教室の開催、講演会でのゲストスピーカーなどと活躍されています。その名前や作品は「Victoria Magazine」、「Good House Keeping」などの雑誌でも度々取り上げられています。また、ラグ・フッキングのバイブル(!)「The Rug Hook Book」も共著で出されています。そしてKLC of Noviでは、昨年度より英語&クラフトの講師としてクラスを受け持たれています。

Q:ラグ・フッキングを始めたきっかけは?

A:1983年にウィスコンシンに引越しした際、近所あった一週間に一度集まってラグフッキングをするグループに参加したことからです。

Q :ラグ・フッキングの魅力は?

A: ウールなどの自然素材を使うことですね。そして、自分だけの独自のラグ(敷物)やハンギングを(壁掛け)作れることです。また、根を詰めることなくリラックスしてお喋りしながらできることもとても好きです。

Q:これまでどれくらいの作品を作られましたか?

A: 100枚くらいでしょうか。そのほとんどは売ってしまいましたが、まだいくつかは家にあります。(作品は600ドルから7000ドル!位もするそうです。)

Q:材料はどこで調達されますか?

A: ラグ・フッキングのビジネスでは、ウール会社から手に入れています。ウールは、市販のものやキットになったものを買うと高価についてしまうので、私の生徒さん達にはサルベーション・アーミーなどのセコンド・ハンド店からのリサイクルウール(reclaimed wool)を使うことを勧めています。

Q:ラグフッキングへの想いを…。

A: かれこれ20年以上ラグ・フッキングを楽しんでいますが、何と言っても好きなのは、一度基本的なやり方を習ったら、後は様々な色やパターンを自分なり選んだり創作して製作していくことができ、たとえ5人が同じパターンを選んでも仕上がりは一人一人の個性が出てそれぞれ違ってくる…すなわち同じものは無いということころです。ラグ・フッキングを通して自分の創作性を表現する機会が得られるのです。私はウールを手染めしたりもしますが、そうしたウールを使ったラグには、何とも言えない色の陰影が出て、その素材感がさらに美しく現れてくる気がします。


バーラップに編みこんでいくウールは無地だけでなく、格子模様や柄のものも。それぞれいい感じの風合いを出して美しい!イニシャルや日付なども入れて仕上がったラグは、まさに世界に一つだけしかない特別なもの!!敷物としてだけでなく、壁掛けやバックなど様々に楽しめるのも魅力大!ますますラグフッキングに惹かれた私です。早く始めなくちゃ!


MICO☆I