Sushi 日本をとびだした“すし”

飛行場のすしコーナー

 はるか以前に来たそのころのアメリカでは日本といえば「Fujiyama、Geisha girl」と言われていました。生の魚を食べる、なんて野蛮な!と話にすらなりませんでしたが、今ではSushiレストランはもちろん、スーパーマーケット、飛行場、アミューズメントパーク、そしてヨーロッパの各地、メキシコ、マチュピチュなどの旅先でSushiの看板が郷愁を呼び起こしました。以前読んだ、ある映画監督の手記で、撮影のためにでかけた秘境で、中華料理店があったと驚いた記事を読みましたが、今ではSushiがこの様な驚きをもたらしているようです。もちろんミシガン州でも多くのSushiレストランが目に付きます。アメリカ人の友人はSushiレストランで食事をした時、ご主人がニューヨークで、Sushiはヤッピーのトレンド食と言ったことでSushiが好きになり、今ではSushiに付いてうんちくを傾ける人になりました。カリフォルニアロールから始まってチーズ入り、ハラぺーニョ入り、スパㇺSushi、カナダで食べた太巻きの天ぷらSushi、生春巻きSushiと既成概念にとらわれない自由発想Sushiにただただ驚きました。そして世界の味に誘う「~風Sushi」も楽しんでみようと秘かに考えています。なぜSushiがこのように世界中に広がっているか私の勝手な推測では、すし飯、手を加えない自然の具材、わさびと醤油との単純な組み合わせがサンドイッチのように好みの具材とソースの組み合わせで、自分なじみの抵抗のない味にできる簡易食であるということ、そして冷蔵庫の残り食材を使ったSushiですら、高級感も出せ、手巻きすしやその他のすしにも変化するというのが要因と思うのですがどうでしょうか?

すしの歴史

 飲食辞典によればすしとはすし飯を中心とした日本料理の内、もっとも種類が多く、もっとも一般に普及している食べ物。酢は「酸し」の義で、元来は飯を加えず魚肉、貝類を塩圧し、加熟して、自然に酸味が生じたものをいいました。飯を加え発酵を早め、同時に味を複雑にして、味よりも甘味が求められ、鮓または鮨の字が用いられるに至る筥鮓(はこずし)、押鮓でした。江戸に1670年~1680年ごろに松下善甫と言う京下りの医者が初めて早鮨を伝えたと言われ、「松本鮓」と呼ばれるようになりました。1810年に江戸近海の新鮮な魚介類が中心の握り鮓となりました。きんとん鮓、錦鮓、折鮓、江戸前地引鮓などの名がみえて、すしの種類が多くなりました。マグロなどそれまでは、あまり用いられず、醤油につけ、少量のワサビを挟んで握ったものでズケとよばれ、明治初年に鉄火巻ができたと言われています。

アメリカのSushiの歴史

 2004年のノースカロライナ州のある新聞のすしの心得の記事では、Sushiとは日本の最もポピュラーな料理でアメリカに日本から輸出された不思議な食べ物の一つと紹介されました。その記事では、Sushiとは、から始まり、オーダーの仕方、食べ方そして健康食としてのSushi市場が広まったこと、1970年にカリフォルニアに紹介されてから約5,000軒のSushiレストラン、年間3000万ドル以上の市場となり、Sushi板前の人材不足が起こっていると記載されていました。1980年に「ショーグン」というテレビ番組がヒットし、日本に対しての親近感、信頼感を高める結果をもたらし、急にSushiレストランが増え、マスコミが取りあげました。シンプルで分かりやすい料理で、胃袋とお財布に合わせ、いつでもオーダーをやめていいことなど話題性に富みました。

スーパーマーケットのSushi事情

 全米のスーパーマーケットでSushi惣菜を販売するAFC(Advance Fresh Concept)の店舗は1,700軒にのぼり、今も年間150-170軒のペースで増えています。すしは鮮度が命でカリフォルニアの大手スーパーマーケット「ボンズ」が1986年に石井龍二氏の趣旨に同意し、始めは生鮮材料を使うSushiを慎重に扱い販売しました。スーパーマーケットで買い物をする途中、新鮮で健康志向な食材を使ったSushiをその場で作ってもらい、家に持ち帰り、家庭で楽しめるアイデアがアメリカの消費者の心をつかみました。生春巻きを使ったサマーロール、初めて口にするお客様用にミニロールパックなどユニークなメニューを開発し、フランチャイズ企業に積極的に取り組み、Sushiの基盤を確立しました。AFCはスーパーマーケットだけでなく、多くの人が集まるアミュ-ズメントパーク、スポーツアリーナなどにも提供しています。Sushiレストランの現状として、2011年から2014年におけるSushiレストランのマーケットリサーチの報告では年間23億ドルの市場と報告されました。

すし飯と合わせ酢

 すし飯:良質米で水加減はやや硬めで、米と同量の水(新米、古米では水加減を調整)で炊きます。酢飯つくりには飯台(木の器)が理想ですが、なければ大きめのボールなどの器に炊きあがって少し蒸した飯に合わせ酢をかけ混ぜ合わせ、全体が混ざったらうちわであおぎ、布巾をかけておきます。

標準の合わせ酢

米    3合
酢    1/3-1/2カップ
塩    小匙2/3
砂糖    大匙2

調味料を 合わせて、塩と砂糖が解けるくらい火を通し、粗熱をとる。場合によってはみりんや昆布などで味を加えるものもあります。

関東風

米    3合
酢    1/3-1/2カップ
塩    大匙2/3
砂糖    大匙1/2

江戸風の握りなどに使われる。魚介類向きです。


関西風

米    3合
酢    1/3-1/2カップ
塩    大匙2/3
砂糖    大匙3-4

茶巾鮨、ちらし寿し,蒸しすし。野菜類、乾物類、卵などを調理したものを混ぜるときに使われます。


季節によって、春から夏にかけては酢、塩を聞かせ、さっぱりと仕上げ、秋から冬にかけては砂糖を多めに使って仕上げます。

手巻きずし

 すしは大きく分けて、なれずし(関西風)と早ずし(江戸風)です。最近は手巻きすしのように家庭で手軽に楽しめるすしがポピュラーです。手巻きずしの発祥は江戸時代に遡ります。江戸のせっかちさが生んだともいわれ、もともとはすし屋の裏メニューでしたが、今では定番になっています。江戸時代に賭博での勝負は一分一秒がそのままの収益にかかわるので、食事はパッと済ませたいために手軽に食べられる食べ物としてできたのがこの手巻きすしと言われています。サンドイッチもカードゲームをする時に手が汚れず、短期間で食べられるという、同様な理由でイギリスで生まれています。手巻きずしは1982年にミツカン酢でテレビのコマーシャルで取り上げ、1988年に「とんねるず」起用の宣伝で反響を呼び市場が拡大しました。

アメリカのアイデアSushi定番

地名の付いたロール:
カリフォルニアロール、フィラ  デアフィアロール ミシガンロール。
生き物の名前の付いたロール:
スパイダーロール、ドラゴンロール、キャピタルロール、スパイシーツナロール。
その他のSushi: 
Sushiバーガー、ピザSushi。

アメリカと日本以外の外国のSushi

 スペインのスーパーのSushiコーナー

 Sushiコーナーは豊富な魚介類売り場に隣り合わせ、見たこともない新鮮な魚介類、大きなミル貝、ツナの大きな塊、蛸も無造作に並べられているのが日本との違いでした。
イギリスではドーナツSushi 、メキシコではSushiブリトー、Sushiタコス、そして最近ではブラジル発の手巻きすし,テマケリアがトレンド Sushiです。テマケリアとはポルトガル語で「手巻きすしやさん」と言う意味だそうです。ブラジルで健康的に食べられるメニューとしてブラジルをはじめとし、海外でも広がりつつあります。具材は牛たたき、サルサ、ハム、サーモン、エビフライ、アボカドなどで、ボリュームたっぷりのご飯と海苔、魚、野菜サラダ、チーズ、揚げ物で、日本人の馴染んでいる手巻きともちょっと違うSushiです。

巻きずしや押しずし用器具の器具

 巻きずしは 巻きすで作るのはもちろん従来の方法ですが、最近はSusheziのような器具やその他の器具もあり、また工夫次第でベイクドドーナツ用器具などの色々な型で圧したりすることもできます。キャラクター弁当ならず、キャラクターすしも子供達がきっと喜んでくれると思います。子供達の嫌いな食材でも子供達のアイデアで作ってみると案外好き嫌いを無くす手助けになるのではと思っています。

∎すしはお祭り、お祝い事には必ず作り、その郷土、家庭ならではの味で、古くから受けつがれ来た懐かしい生活の香りがします。今やSushiは世界の共通語になりました。沢山の情報と英知を秘めて世界の多種多様な文化と出会い、即興的創作Sushiが生まれました。それぞれの地域の懐かしいおふくろの味のSushiを世界のあちらこちらでほおばり、頑固な日本のすし職人さんにミシガンロールやテマケリアをオーダーするなんて想像するだけでも面白いですね。新しい食感や味わい、絶妙な取り合わせ、今風に、そして世界の各地で進化しています。日本のおすし屋さんに叱られそうな話ですが、4年後の東京オリンピックもありますので、まあそう気張らずに新しい挑戦を受けて立ってみるのも、そして今日本で流行っている言葉、ポジティブ スイッチで「Enjoy new Sushi」と楽しむのもこれまた人生です。


Cattaile

参考資料:すし.まぜご飯-赤堀全子、飲食辞典、ミツカンのはなし、石井龍二、すしレストランのアメリカマーケット、ブラジルのすし。